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㈱モデナに古くから生息している堕落の標本です。 今や完全に個人的な記録とその記述の墓場になっていますが テキトーに流し見していただければ幸いです。 「モデなんです」の管理人と、よく勘違いされますが、アレは私ではありませんので、あしからず。
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その日は全国の代理店会議というわけで
朝5時起きで電車を乗り継ぎ、東京は表参道の駅までの
軽い小旅行気分で重たい話を聞きに行きました。

着いた時間が午前10時。
集合時間が11時半、新幹線の都合とはいえ
着くの早すぎでした。
近隣の店も開店準備で忙しそうな雰囲気。

駅を出て、軽く周囲を見回したら
御贔屓にしているプロヴァンス生まれの
化粧品メーカー「L'Occitane」のお店があったので
会議の前に寄ってみようと決めました。
が、前述したとおり開店前だったので、
その辺でコーヒーでも飲もうかと適当に考えたところ、

目の前に「入れ」と言わんばかりにコーヒー店が在りました。
これは神の啓示か!?
特に信心深いワケでもない私は、寒さが私に与えたもう
大いなる怠惰に精神を支配され、洗脳された盲信者の如く
ふらふらと店へ。(他を探すのがめんどくさい)

ちょっと古めのビルの2F、
ややこしい店かも知れないと思いつつドアを開ける、
思っていたような怪しい雰囲気は無く、その店内に思わず息を呑んだ。

狭い店内に入れば、目の前には鼻をくすぐる燻した香ばしさと、
耳にジャラジャラとさざめかれる、ロースターの音。
ロースターにかき消されていて気付かなかったが、店内には
ビ・バップなジャズが流れていて、古き大阪のバンビーを彷彿させる。
そして何年・・・、いや、何十年も燻されて乾燥したのであろうかと
考えてしまいそうなぐらい、乾いた古木のカウンター、椅子、食器棚の数々。

それと、「どう見てもマスターとその妻」と、誰もが思うであろう初老の男女二人。

マスターは座って、本を片手に「ジャララー、ジャララー」とロースターを回していた。
あまり、焙煎の知識はないが、あまりお目にかかった事はない形状のロースターで、
それが真っ黒に染まっているところをみると、相当な年季を感じさせる。

カンタンに言えば、
チャーリーパーカーが据わっていそうな店だ。
もっと簡単に言えば
ハルキニストが喰いつきそうな店で
もっともっと簡単に言えば
シヴイ店

(注釈と謝罪)
村上春樹さんの作品は読んだ事がないので、筆者が思う
ハルキニストさんのイメージは実に勝手なイメージです。
ハルキニストさんに失礼かな?と書きながら思いましたが、
ハルキニストさんは多分そんな事で怒らないでしょうと結論付けました。
無論、これも勝手なイメージであり、
失礼極まりないかもしれませんが、ノルウェイの森は
ぜひ観に行こうと思います、これを読んでる皆も観に行こうぜ!
と、書いておけばお茶は濁せるだろうと思ってるのも
モチロン勝手なイメージであります。
全国のハルキニストさん、申し訳ありません。


店の様子はそれぐらいで、私が最初に感じたのは
思いがけないセンスの塊に出会えた感動と同時に
「やばい、高そう・・・」
と、財布の中の孤独な千円札のその後を心配した。

それを察してか、マスターの妻的な女性(略して妻)が腕を差し出し言った。
「カウンターへどうぞ」
仰せのままにとカウンターへ、他に客も無く意識は確実に私のところへ、
さっとメニューを差し出され、モカやの、キリマンジャロやの色々と・・・。
中でも、メインメニューっぽい「ブレンドコーヒー」はグラム数で分けて
とってもややこしい。

長い年数で培った経験から、こういう店では知識はばっさり捨てる事が
身の安全を保障してくれるという事を、私は知っている。
だから、「良く解らないので、標準的なモノをください」と、素直に質問して選んでくれたのが
ブレンドコーヒー800円。

これが、ポピュラーなコーヒー、らしい。

1000円しか現金がないので、非常に助かった。
と思いながら、都会は怖いと再認識しました。

注文してからミルする、そのあと
真剣な顔つきで妻は左手でネル地を回す。
右手のポットから、ほんの少しづつお湯を垂らす。

一杯たてるのに、オルトロスが4トンの重りを2回落とす程の時間がかかる。(約10分の意)
その間、ロースターからの音が「ジャララー」から「シャララー」に変わった。
もうすぐ出来上がるのだろう。
自分で焙煎などしたこともないので、目の前で行われる作業が
私には小劇場での一幕のように映りました。

音を楽しんでいる間にコーヒーが差し出され、
口に運ぶ前に香りを鼻孔に運ぶ。

鮮烈。

香りだけで期待高まる。高確率パターン激アツ期待大。
飲み口は、最初の印象は酸味が無い。
無いわけではなくて、酸味を紙やすりで削り取ったような酸味の丸さ、
甘みもフレンチローストの様に甘いとも思わないが
濃厚さは確かに存在しており、さっくりと切られたシンプルさは無く
奥深い造詣を感じる後味は、切ない余韻を残す風合いだと思った。

あまりにも綺麗にも纏められていたので、少し戸惑った。

だって、こんなコーヒー初めてだものぉ~~~。
それに温度も良い、舌との絡まり方が絶妙。

店の雰囲気に惑わされてなるものか!
と、思って呑んだコーヒーではあったが、見事に取り込まれた。
アカン・・・、美味しい。
飲むのが勿体ないと感心したコーヒーは生まれて初めてでした。
いや、参った。
表参道だけに参りました。

2日経って、もういちど飲みたいと恋焦がしてます。

そんなお店の名前は「大坊珈琲店」でした。
帰ってネットでポチポチ検索したところ、結構な数でヒットしました。
そら、そうやと思うわ。
素晴らしいサーヴィスを提供されました。
800円は安かった。

偶然の出会いにびっくり、日ごろの行いが良かったおかげです。
久しぶりに他人にお勧めできそうです、
ぜひ、表参道に足を運んだ際にはお立ち寄りください。
ブランドショップは多いですが、本物はこの店にありますよ。

では、また~。

PS
あとは、買い物して、道間違えて、遅刻して、飲茶して、会議して、
新幹線で帰りました。

PS2
大坊珈琲店
東京都港区南青山3-13 202F

PS3
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