㈱モデナに古くから生息している堕落の標本です。
今や完全に個人的な記録とその記述の墓場になっていますが
テキトーに流し見していただければ幸いです。
「モデなんです」の管理人と、よく勘違いされますが、アレは私ではありませんので、あしからず。

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彼は壁に向ってピクリとも動かない。
その姿からは黄昏の2文字を髣髴させる。
愛らしい集団にまぎれて彼だけに、
どこかシュールな空気を漂わせている。
なんというか、彼は印象に残る。
何気なく歩いていた夜の水族館。
私には稀有な存在なんでしょう。
ただのペンギンなんですけど。
そんな私は、予定していたフィアットの研修に
行ってきました。500の研修。
宿泊先に水族館があったので、うろついてみました。
富士スピードウェイは暖かな陽気でござんした。
朝の8:30から夜の9:00までみっちりと500漬けでした。
主にプロダクト、ブランド、テクノロジー、セーフティ、
テストドライヴ、著名人を招いてのトークショー。
最後はパーティ。そして爆睡。
とにかく、この業界に8~9年在籍しておりますが、
「500」ほど、愛情と力を込めて世に送り出されるクルマは
初めての体験です。
おかげさまで、ヨーロッパでは10ヶ月の「待ち」状態になっております。
そんな中で日本に3000台も入ってきます。
ガッツリ走って、ガッツリ滑らせて、ガッツリブレーキを踏んで
大阪のおばちゃんよりもベタベタに触って参りました。
スポーツ走行する以外は、確実に問題の無いエンジン。
出力が低い、だから遅い。だからといってイライラしない。
速度に関係なくバランスがよくて使いやすい。
パンダ、147,159と比べても、一番よい出来といえるデュアロジック。
ベタ踏み加速時のギアチェンジのスピードに感動。
インテリアはメーターが使いづらい。てゆーか見づらい。
デザイン重視ですな。
座席、目線、ガラスの広さや角度は、どれをとっても申し分なし。
空間を広く感じられる上にシートのフィット感が特にいい。
ハンドリングは今時な切り替え式なので、良し悪しが無い。
車両の安定性は高いよ~、剛性が高いよ~。
90km/hからの急なハンドリングに喰らい付くよ~。
というわけで、クルマはかなりの高得点です。私もうれしいです。
と、割と色々と書かせていただきましたが、そもそもこのクルマに
性能をとやかく言うのは無粋かもしれません。
この500はイタリアの終戦後に生まれたクルマです。
同じ敗戦国なので、時代のニュアンスはなんとなくで
感じ取ってください。
決して、このデザインを売ろうとして作られた訳でなく、
状況から来る需要を答えにしたデザインが、500です。
だから愛されたのです。
50年前からこのクルマはイタリア人の
生活の一部であり、忘れられない心の部品なのです。
マンマが運転する500を見て育った人たち、青春時代に
友人と、恋人と、500で謳歌した人たち。
500は色んな時間が思い出になっている、人々の魂の
ようなクルマなのです。
なんかの雑誌で書いてたんですけど
「僕が500に乗る理由?僕がイタリア人だからだ」
だって、カッコイイ事を言っちゃってるけど、本当にそうなんだろうね。
いいクルマでしょ?すばらしいでしょ?
軽い雰囲気なのに、重いものを感じるでしょう?
イギリスのロックをドイツ人がコピーしたクルマとは訳が違う。
魂も情熱も違う。
だから、500はマスターピースになれるクルマなんです。
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